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No.2  DEQXはシステムドクター [ SPユニット編 ]

DEQXでスピーカーユニットの異常を発見!

 
    <TADのドライバー:TD-4001>       <同左:ベリリューム製の振動板ユニット>

 ・ オーディオ再生の要はスピーカーシステムです。
 ・ そこに異常があれば全ての努力は水泡に帰します。
 ・ しかし、日常的な音楽再生で異常を発見するの困難な場合も多いのです。
 ・ 例えば
      1.マルチWayシステムでどこかのユニットが断線している
      2.一つまたは複数のユニットに歪みが発生している

      3.左右のユニットで特性が大幅に違っている
   などがあります。

 ・ 調べてみたら片側のツィーターが鳴っていなかったという事例は決して少なくありません。
 ・ ユニットの再生音に多少の歪みがあっても
音楽再生では気付かない場合があります。
 ・ 左右で特性が異なる例は多々ありますが
音楽再生では気付かない場合があります。

 ・
音楽再生で気が付かなければ問題はないのでは・・・・・と思われるかも知れません。

 ・ しかし、歪みや特性の異常などによる音質の変化(劣化)は特定の音域やレベルで顕著
  になることが多いため、音の変化に気付いても録音のせいだと片付けてしまうこともあります。

 ・ DEQXは一定の範囲内でユニットの特性を補正しますので、ユニットに基本的な問題が
  なければ、そのまま使い続けることも可能です。

 ・ しかし、設計や製造上の問題、あるいは老朽化などによる特性の劣化が生じている場合は
  根本的な治療が必要です。

DEQXによるシステム診断

 ・ スピーカーや部屋のクセを消し去り、ピュアな音質を確保するのがDEQXの本来の役割ですが
  実はその設定過程でシステムの様々な問題点や症状が見えてきます。

 ・ このことから「
DEQXはシステムドクター」でもあると感じています。。

 ・ DEQXの測定では、10Hz~40kHzまでの歪みのない正弦波の信号が使われます。
 ・ マルチアンプ方式では帯域毎に測定信号が出るのでユニットの断線などが直ぐに判ります。
 ・ ユニットの使用帯域より広い範囲を測定することで歪みの有無なども分かり易くなります。

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◆ 診断の着眼点

1.スピーカーの測定に合わせて接続ミスやユニットの良否(断線等)を確認しましょう。
    ・ DEQXを設定する場合、最初にスピーカーシステムの測定を行います。
    ・ マルチアンプ方式では帯域別に音を出して測定を行います。

 
    < 各帯域用のアンプから信号を出し、接続やユニットの異常などが確認できます >

    ・ L-chの中から信号を出す帯域を選択し、指定通りに音が出るかを確認します。
    ・ L-ch用の信号音がR-chから出てしまうという事例も少なからず存在しました。
    ・ L-chがOKなら「戻る」ボタンで前画面に戻り、R-chを選択して同様に確認します。
    ・ 音が出ない、あるいは指定と異なる系統から出た場合は測定を中止します。
    ・ アンプの故障や接続の間違い、ユニットの故障などを総合的にチェックします。

    ・ DEQXを設定するための測定ですが、同時にシステムの基本をチェックしましょう。

 2.特定のユニットから歪んだ信号音が再生される!

    ・ ユニットの僅かな歪みなど、判定の難しい場合をご紹介します。
    ・ スピーカーの測定で左右からの信号音が少しでも違って聞こえたら要注意です。
    ・ 左右の音を注意深く聞き比べることで異常を発見できることがあります。
    ・ 少しでも、変だ、音が違う、と思ったらレベルを変えて何度も聞いて確認します。

  
   < 締め付けの具合で歪みを取り除く >    < トルクが指定されたSONY-T11の例>

    ・ 上の写真の左側は測定時に歪みを発見したドライバーです。
    ・ 使用帯域(350Hz以上)よりも低い音域で片側のユニットから歪んだ音が聞こえます。
    ・ 左右のユニットを逆にすると現象も入れ替わるためユニットの問題と判断しました。
    ・ 分解して点検しても振動板の異常などは特に見られません。
    ・ しかし、ギャップを清掃して音を出しながら組み立てていると歪みが再現しました。
    ・ 振動板を固定するネジの締め付け具合で歪み音のレベルが大きく変動します。
    ・ 慎重に締め付け作業を行った結果、歪みを全く感じない状態にする事ができました。

    ・ それから数週間後、知人宅で締め付けトルクの指定がある振動板を発見!
    ・ 別会社のものでしたが「我が意を得たり」の思いと、「さすが」の思いが交錯しました。

    ・ 今回はDEQXの調整で異常が発見でき、無事に解決できたことは大収穫でした。

 3.ステレオ再生の基本は左右の特性が揃っていることです。

    ・ 耳では判らなくても、左右の測定データーに大きな違いがある場合は要注意です。

  
  < 周波数特性が異なるユニットの例-1>   < 周波数特性が異なるユニットの例-2>

    ・ 例-1は8kHzがクロスポイントですが、ここで7~8dBものレベル差があります。
    ・ 例-2は10kHz以上で差が大きくなり、20kHzで8dBのレベル差があります。

    ・ これらは製造工程の問題や経年劣化が生じている可能性があります。
    ・ 例-1のユニットをそのままステレオで使用すると高域の定位が片寄ってしまいます。
    ・ 例-2で大きなレベル差が生じるのは10kHz以上なので聴感上は多分判りません。
    ・ 6dB以上の差が出た場合はユニットに基本的な問題があると考えられます。
    ・ DEQXによる補正で特性は改善されますが、基本的には修理が必要です。

    ・ このようなユニットの特性の違いを耳で聞き分けることは事実上不可能です。
    ・ DEQXによる測定(診断)は、身体に潜む病魔を発見するのと同じです。
    ・ 治療が困難な場合でも、オーディオシステムならパーツの交換や修理が可能です。
    ・ 早期発見、早期治療で基本的な問題を解決して良質なサウンドを楽しみましょう。

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    ・
DEQXを担いでシステムの出張診断も致します。気軽に声を掛けてください。

                      

                                          クリズラボ店主・記


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